酸素療法と看護⑶酸素化の指標【P/F比・A-aDO2・OI・ Qs/Qt 】
2018/2/22
⑶酸素化の指標あれこれ
こんばんは、前回は酸素化の評価について取り上げました。酸素療法の基礎については前回で終わりにしようと思っていたのですが、臨床でよく使用される酸素化の指標についてを後回しにしたら・・うっかり忘れました。(笑)
ということで、今回は「酸素化の指標」についてです。
ベッドサイドですぐに使えるものから、やや計算式が覚えづらいものまでいくつかあります。
なぜいろんな指標があるの?
酸素濃度の影響を受けるので、一概に「これならどんな場合でも酸素化の指標となる!」と言い切れるものがありません。
そのため、計算が簡易で一般的によく使われるのはP/F比、 高二酸化炭素血症や低酸素血症の鑑別ではA-aDO2、 陽圧人工換気では酸素化指数などというように、状況に応じて使い分けされています。
実際にどんな酸素化の指標があるの?
臨床でよく使われるものからピックアップしていきます。有効な指標であっても計算式が難しくなるにつれ、使用される頻度が減っているのが現場での実感です。計算式を覚えていなくても、こういう指標があるということを記憶にひっかけておきましょう。
医師が鑑別診断時の目安として用いることも多いです。
P/F比:P/Fratio(酸素化係数)
酸素濃度の条件を一定にそろえて酸素化をみることができます。しかし、酸素化のみのガス交換の指標になります。
【計算式】
P/Fratio=PaO2/FIO2
【正常値】
正常値 400以上
軽症ARDS 300以下(ALI:急性肺障害)
酸素化障害 250以下
中等症ARDS 200以下(ARDS:急性呼吸促迫症候群)
重症ARDS 100以下
・計算式を組み替えれば、目標PaO2にするために必要な酸素濃度も知ることができますね。
A-aDO2(肺胞気動脈血酸素分圧較差)
読んで字のごとく、肺胞気酸素分圧と動脈血酸素分圧の差を表しています。
低酸素血症の鑑別ができます。肺胞低換気によるものか、肺に要因のある拡散障害・シャント・換気血流比不均等などのガス交換によるのかなど原因を鑑別します。
【計算式】
A-aDO2(mmHg) = PAO2-PaO2 = (150-PaCO2/0.8)-PaCO2
PAO2 =(760-47)× 0.21- PaCO2/0.8
【正常値】
5〜15mmHg
【A-aDO2開大の有無】
・A-aDO2が開大していない正常の場合=低酸素血症の原因は肺胞低換気(肺以外)
・A-aDO2が開大している場合=拡散障害・換気血流比不均衡・シャント
【注意点】
・酸素投与によりA-aDO2が上昇してしまうため、原則として室内気(21%)の酸素を吸っている時に測定します。
OI:Oxygen-index(酸素化指数)
陽圧人口換気中酸素濃度と平均気道内圧を加味した酸素化の指標。
酸素化がどのくらい障害されているか、治療が効いているかの指標になります。
【計算式】
(陽圧人口換気中の)平均気道内圧(MAP)×FIO2/PaO2
MAP=PEEP+(PIP-PEEP)×Ti×RR/60
→重症なほど高値となります、陽圧管理の小児によく使用されます。
Qs/Qt(シャント率)
全肺血流のうち酸素を取り込まない血流(シャント血流)のパーセンテージです。
【正常値】
3~5%(解剖学的シャント)
【計算式】引用:日集中医誌 J Jpn Soc Intensive Care Med Vol. 15 No. 1
QS / Qt =(Cc’O2 - CaO2)/(Cc’O2 - Cv— O2)
QS:シャント血流量,
Qt:全肺血流量
Cc’O2:肺胞終末毛細管血 O2 含量
CaO2:動脈血 O2 含量
Cv— O2:混合静脈血 O2 含量
以上が臨床でよく使う、もしくは耳にするであろう酸素化の指標についてまとめてみました。
酸素療法と看護はこの⑶にて終わりとします。血液ガスや人工呼吸器など関連項目で見覚えのあるワードとして、また出てくると思います。
それでは、この辺で。
おとーふでした。