胸腔ドレーン看護管理⑸ウォーターシールの看護はここをチェック【ウォーターシール管理】
2018/1/12 更新:2018/6/25
毎日寒いですね。今朝は豆乳+玄米甘酒でホッと一息ついてましたおとーふです。
↓胸腔ドレーン看護管理シリーズ⑴〜⑹、この記事は⑸です。
⑵低圧持続吸引・チェストドレーンバック【胸腔ドレーンの仕組み】
⑶ここをチェック!観察ポイントとそこから考えられること【観察ポイント・正常と異常】
⑷移動時にドレーンクランプ!?トラブル予防と対処法【注意点とトラブル対応】
⑹ドレーン抜去の目安と抜去時の看護【抜去時期・ドレーン抜去】
7.ウォーターシール
本日はウォーターシールについてです。これまでのチェストドレーンバッグでの持続吸引もウォーターシール(水封)の原理を使っていますね。今日のテーマのウォーターシールとは、吸引しないバージョンになります。
現場では前者を「吸引するやつーとか、(商品名で)Qin1準備してー」とか言われ、後者は「ウォーターシールにするよ、自然ドレナージで、吸引かけないやつ」なんて呼ばれ方が多いです。やや雑ですが(笑)緊急時や実際はこんなものです。なかには、きちんと正式名称で言ってくれる方も・・・いると思います。
と、いうわけで
吸引していたところから、エアリークが消失し肺が再膨張してきたなっていう頃になるとこの「今日からウォーターシールで」っていう指示が出たり。陰圧管理が必要ない場合などは、はじめから「ウォーターシール管理に」となります。
もしくは、エアリークが続き癒着術なんかを考慮する前に一時的に「ウォーターシールで様子をみましょう。」なんてことになります。
現場でも使い方がわからないという声や、看護師に限らず医師でも間違った認識をしていることが多いので、1項目として絞ってみました。
1)ウォーターシールとは
一言でいえば「水封」のことで、現場での意味は「吸引をかけずに自然ドレナージをする」という意味になります。
はじめからウォターシール管理の場合
ドレナージ後すぐにウォーターシール管理となる場合には、吸引圧の設定がデジタル表示で簡易なメラサキューム用のアクアシールバッグが選択されることが多いです
チェストドレーンバッグですといざ吸引することになった時に、吸引圧設定部にも注水が必要ですし吸引源に繋がなければならないので、患者さんの動きを妨げてしまいます。こちらは、術後やベッド上安静で管理する場合などに使用します。
そのため水封管理からメラサキュームへの接続だけで必要時には、容易に吸引管理が可能となるアクアシールバッグが吸引しない場合の第一選択となります。
吸引時の音もとても静かなので、病棟での管理にも向いています。
2)ウォーターシール管理のポイント
・水封部まで規定量の蒸留水を必ず入れましょう。(規定量の水を入れると−2cmH2O)の圧がかかっていることになります。メラアクアシールの場合、規定量はゼロ表示までの注入量で24mlです。
〈規定量以上に蒸留水を入れてしまうと?〉
→水の高さの分だけ水柱圧がかかることになり、胸腔陽圧時の排気ができなくなってしまいます。これはメラサキュームで陰圧管理を行う時も同様です。デジタル設定のみでかける吸引圧を設定し、水封部は規定量の水のみになります。
・長期使用の場合は、水が自然に蒸発して減ってくるので必ず補充しましょう。
3) 吸引からウォーターシール管理へ〜本当に吸引を止めればいいだけ?
「不要なライン(ポート)はクランプもしくは、シールキャプで気密を保つ。大気や排液の逆流を起こさないことが大切です。」
〈メラアクアシールバッグの場合〉
・排液バッグを本体から取り外して使用します。
・吸引を中止後は速やかに吸引ポート(青コネクター)の接続を外し、逆流防止弁を接続します。
【注意】
吸引ポートに接続したまま、「吸引設定圧をゼロにする・電源をOFFにする」だけではどちらもNGです!
この状態だと、陽圧時の大気流入を防げません。必ず、逆流防止弁を使用しましょう(付属ではなく別売)、ボール弁が陽圧時の開放・陰圧時の閉鎖を行い大気流入を防止してくれます。
・バッグの転倒で水封が機能しなくなるため、気をつけましょう。
〈チェストドレーンバッグ(3連ボトルシステム)の場合〉
・吸引を中止し、吸引コネクタを外し接続部をクランプします。
・2ポートある場合などは、使用しないポートはシールキャップで栓をします。
・空気・排液ともにワンウェイバルブが内部に設置されていますが、バッグの転倒に十分注意し管理しましょう。
4)ウォーターシールのとき呼吸性移動はどこでみる?
上記で述べたウォーターシール時には、逆流防止弁を使用します。逆流防止弁を使用すると呼吸性移動は観察できません。
なので、「呼吸性移動は観察できない」が正しいです。
吸引圧をかけている場合は、ゲージ部+ウォーターシール用水の水位の上下で呼吸性移動を観察します。
5)ウォーターシールのときエアリークはどうみる?
エアリークを観察するのは吸引時と同様、水封部に気泡が出ているかいないかで確認をしていきます。これはもう知ってるよーっていう方がほとんどですね。
ウォーターシールにするということは、ある程度肺膨張が進んでいたり、気胸が軽度であったりする場合が多いと思います。そうなると、エアリークもたまにしか出ないなとなってきます。これは、陽圧時に押し出されているため、通常の安静時呼吸ではリークが出にくくなります。
なので、ウォーターシールになったら安静時のみでなく、発声時や大きく息を吐き出してもらう深呼気時などにもチェックしてみましょう。咳嗽時も多いですが、元々フリースペースには少量のエアがありますので、エアリークとしての評価はしづらいです。
以上でウォーターシールについてはおしまいです。いかがでしたか?知っているようで曖昧だったことや、改めて確認できたこともあったのではないでしょうか?次回は、いよいよ胸腔ドレーン抜去に向けてのまとめをしていきたいと思います。
それでは〜
おとーふ。