胸腔ドレーン看護管理⑴看護師がチェックすべき9項目【適応・目的・挿入部位】
2017/11/26
胸腔ドレーン管理のコツを押さえよう!これが9項目!
「受け持ち患者さんに胸腔ドレーン入ってる・・・どうしよう・・分からない・・。」「見るポイントは分かるけれど・・何でみているのか理由が分からない。」
「何となく分かってるけど、後輩に説明まではできない・・。」
なんてことが思い当たる看護師さんはいませんか?。
「どうしよう!」「知りたい!」と思ったその時こそ、一番学んだことが身につく時です。現場のナースだからこそ知りたい胸腔ドレーンのしくみ、観察ポイントやその理由、管理の上で知らないと事故につながるあんなコト、知っていればあのとき困らなかった手技や適切な管理などなど。
一緒に不安なところを解決していきましょう。一番不安なのは、不安なまま看護している看護師さんに担当されている患者さんですからね(笑)。
これが胸腔ドレーン必須9項目です!
9コだけ覚えればいいんじゃないのか・・・。と思った方もいるかもしれませんが、9コではなく9項目です。それぞれポイントを絞っていきますので食わず嫌いせず読んでみてください。
1.なぜ胸腔ドレーンが入っているの?【適応と目的】
2.どこにドレーンが入っているの?【胸腔ドレーンの挿入部位】
3.胸腔ドレーンってどうなっているの?【胸腔ドレナージの仕組み(低圧持続吸引)】
4.実際、どこを観察したらいいの?【観察ポイント】
5.観察してみたけど、これって正常?異常?【正常と異常】
6.こんな時どうする?【注意点とトラブル時の対応】
7.「今日からウォーターシールに。」って医師に言われたけれど、ウォーターシールって何?持続吸引を止めればいいだけ?【ウォターシール】
8.胸腔ドレーンっていつまで入れているの?【抜去時期と抜去】
9.抜去されたし、これで安心!?【ドレーン抜去後の観察ポイント】
初回は、項目1・2についてです。
1.なぜ胸腔ドレーンが入っているの?【適応と目的】
【目的】
「肺の虚脱を改善し再膨張を促す」これに尽きます。そのために・・・
胸腔にたまった液体(浸出液、血液、膿など)や気体(空気)をドレーンにより体外へ排出する。または、その恐れがある(術後)ため予防的に行う。
【適応】
胸腔内に液体または空気が貯留する疾患。または開胸術後などそれが予測されるとき。
①胸腔内に液体が貯留する疾患(胸水・膿胸・血胸など)
浸出液・膿:胸膜炎(癌・肺炎・結核など)/
横隔膜下膿瘍→膿胸となる場合も
心不全
肝硬変
急性膵炎
膠原病
びまん性中皮腫 など
血液:外傷(胸部)
胸部大動脈解離
胸部大動脈瘤破裂 など
リンパ液:乳糜胸 など
②胸腔内に気体が貯留する疾患(気胸)
外傷性気胸と自然気胸のどちらか。
疾患名としてあげられるのは、自然気胸のうち症候性のもの。
症候性気胸:肺線維症
悪性腫瘍
症候性気胸
気腫性肺嚢胞
マルファン症候群 など
③①と②をきたし得る術後
手術:開胸術後・胸腔内術後
・虚脱した肺の再膨張のため
・術後出血・肺瘻・リンパ液の漏出等の観察のため
(情報・予防的ドレーンとして)
こまごま①〜③まで書きましたが、要するに適応は気胸、血胸、胸水、膿胸、乳び胸です。
以上が目的と適応になります。同じ胸腔ドレーンといえ、治療的・予防的・情報的とドレナージの目的や意味が異なってきますので、「何のためのドレナージ」なのかを知りましょう。
2.どこにドレーンが入っているの?【ドレーンの挿入部位】
→壁側胸膜と臓側胸膜の間の胸膜腔に留置。
・ドレナージするものが気体ならば上に溜まるので上向きに肺尖部に留置。
液体ならば重力で下に溜まるので下向き背側の肺底部に留置します。
術後など、必要な場合は両方のドレナージがなされます。
✴︎下図参照:aは気胸の一例、疾患により破れる場所は様々。
穿刺部位は?
気体をドレナージするなら第2〜第3肋間中鎖骨線上、液体の排液ならば第6〜7肋間、緊急時は第5肋間中腋窩線上などと特定の穿刺位置などもありますが看護師は直接穿刺するわけではないので、個人的には必ずしも知っていなくても良いと思います。余力のある人は覚えてみてください。
どこに留置されていて何をドレナージしているのかを理解していれば問題ないと思います。それよりも、ドレーンが抜けないように固定する、確実にドレナージができているか確認する、異常の早期発見・対応ができるなど適切な管理を行うことに重点をおくことが大切です。
☆3〜9項目目までは随時、更新していきます。