かんごノート by logical nurse

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ドレーン看護管理ここは最低押さえよう!③全科共通ドレーンの観察ポイント

《ドレーン看護管理》
③全科共通ドレーンの観察ポイントについてです。

 

ドレーン看護管理①②を通して、ドレーンがどんなものであるかはおおよそ理解ができたのではないかなと思います。 

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次に、臨床の場で気になってくるのは・・・きっと

 

ドレーンのどこをどうみればいいの?何に気をつけたらいいのーー!?

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だと思います。

 

細かい観察ポイントになってくると、各科やドレーンの留置される部位や目的によって必要な観察項目や排液性状や量などが異なってきます。

 

そこで今回はドレーンが留置されている場合に、

全科共通で最低ここだけは必ずチェックを!

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1. ドレーンの留置部位と目的

2. 吸引圧および設定圧の管理

3. 排液の観察(性状・量)

4. 呼吸性移動・拍動の観察(屈曲・閉塞)

5. エアリークの観察(漏れ・抜け・ゆるみ)

6. ドレーンの位置と固定

 

1. ドレーンの留置部位と目的

 ・ドレーンの留置部位については、術後の場合は手術室Nsからの申し送りとともに、患者さんの体に留置されているドレーンを把握しましょう。術後以外の場合でも同様に、挿入されている部位を正確に情報収集することが大切です。

・ドレーンの目的についてはドレーン看護管理①でおさらいしてください。

 

2. 吸引圧および設定圧の管理

指示通りの設定圧になっているか
 例:外耳孔を0(ゼロ)として、+5cmH2Oで開放
   (脳室・脳槽ドレーン等)

指示通りの吸引圧になっているか
 例:-10cmH2Oで持続吸引
   (MERA/HAMA/Q in oneなどの低圧持続吸引器)

・吸引の場合吸引調節圧から常に外気を取り込み、気泡が出ていることを確認

 

【ここに注意!】f:id:logicalnurse:20171102030951p:plain

「機械が吸引してくれているから、あまり注意深くみなくても安心だな。」という考えは絶対にダメです!

 

・吸引設定圧が低すぎても高すぎても合併症を招く恐れがあります。
 例:[吸引圧が低い場合]
    吸引不良による換気不全や心タンポナーデの恐れ 

   [吸引圧が高い場合]
    オーバードレナージによる血圧低下
    心拍出量の低下、ドレーン留置部の組織損傷、
    出血、気胸や呼吸状態の悪化の恐れ

 

持続吸引が停止してしまった場合は生命の危機を招く恐れがあります。
 →ドレナージが行えなくなるため、閉塞したのと同様。
  例:心嚢ドレーン・・・心タンポナーデ
    胸腔ドレーン(胸水)・・・換気不全
    ドレナージされる体液の逆流・・・感染

 

3. 排液の観察(性状・色・量)

術後や挿入直後はモニタリングやバイタルサインと合わせ頻回に観察を行う。

性状や色はドレナージの部位や何をドレナージしているかによって異なる

 『代表的なドレーンの正常な排液の色(性状)』

  胸腔 淡血性〜漿液性
  心嚢 血性〜淡血性
  腹腔 淡血性〜漿液性
  胆管 黄金色(ゴールデンバイト)
  膵管 無色透明
  脳室 無色透明〜淡黄色

単純に言えば、これ以外の性状であった場合は異常となります。術後出血や縫合不全、感染や胆汁・膵液など消化液の漏れなどが原因であったりします。そのため、排液性状の的確な観察は異常の早期発見にも繋がってくる大切なポイントとなります。

手術直後は200ml/hを越えると止血術の適応となる。
 持続すると出血によるバイタルサインの変化やショックなどを起こす可能性もあり、
 排液の観察が要となる。

 

4. 呼吸性移動・拍動の観察

・ドレーンに合わせて、呼吸性移動や拍動の有無を確認し閉塞を予防する。

 例:胸腔ドレーン(胸水や術後)・・・呼吸性移動の有無
   脳室ドレーン(術後)・・・拍動の有無

 

【ここに注意!】f:id:logicalnurse:20171102030951p:plain

排液の性状によりドレーン内で凝血し閉塞することがあるため、ミルキングを適宜行う必要がある。ただし、ミルキングを行っても良い場合と行ってはいけないドレーンがあるので要注意。(→ミルキングについては追って、アップしていきます。)

 

5. エアリークの観察

・エアリークというと「胸腔ドレーンだけでしょ。」と思う方もいるかもしれません。
気胸の脱気目的や、肺切除などの術直後には一時的にみられますが・・これ以外の場合にエアリークが持続したり、出現したりする場合があります。この場合、すぐに医師へ報告した方がよいでしょう。

・エアリークの原因としては、上記以外に接続のゆるみドレーンが抜けかけていたり、抜けている場合。また、吸引器のボトルや接続チューブに穴があいている場合、ドレーン挿入部の穴が広がり空気が入っている場合などがあげられる。

エアリークがある場合には、皮下気腫の有無も必ずチェックしマーキングをしましょう。

 

6. ドレーンの位置と固定

・ドレーン挿入部の観察
 縫合糸のゆるみ
 チューブのねじれがないか

    テンションがかかっていないか
 適切なテープ固定がしてあるか
 皮膚状態の異常の有無

・ドレーンの屈曲やたるみの確認
 たるみに排液が貯留していると、効果的な吸引ができないため。

 

 

以上が全科共通してドレーンの看護管理にあたり、必要な観察ポイントとなります。1つずつ、確実な確認と観察を行い事故のない安全なドレーン管理を行えるといいですね。

 

 

またドレーン管理も随時、更新していきます。