ドレーン看護管理知っているようで知らない?②ドレーンの種類
2017/10/14
《ドレーン看護管理》
②ドレーンの種類
についてです。
ドレーンの種類は?と聞かれると・・
「えっと・・胸腔ドレーンと脳室ドレーンと皮下ドレーンと・・ダグラス窩ドレーンと・・・他にも色々あります。」
なんて答えるナースもいます。
え?!ちがうの?と思った方は一緒に学んでいきましょう。
ドレーンの種類とは、目的・排液により分類されています。
ドレーン看護管理①でドレナージの目的について書きました。これも一つの種類分けになります。
そのもう一つの分け方が、「排液による分類」になります。
じゃあ・・最初に答えたあれは何だったの?と思う方もいると思います。
胸腔ドレーンや脳室ドレーン・・などは部位別の名称となります。ドレーンの種類ではありませんので、間違えないようにしましょう。
Q.ドレーンの種類(排液による分類)って何があるの?
A.開放式ドレーン・半閉鎖式ドレーン・閉鎖式ドレーンの3種類です。
【開放式ドレーン】
ペンローズドレーンなど、排出側が外界へ開放されているタイプ。
〈メリット〉
・ドレナージ効果が大きい。
・比較的柔らかい素材でできており、組織侵襲が少なく患者負担(痛みや体の動きを妨 げないなど)が少ない。
〈デメリット〉
・逆行性感染を起こしやすい。(外界と交通していることや、汚染されたガーゼが培地となった逆行性感染)
・排液性状が水様でなく血性や膿性となると閉塞しやすい。
・抜けやすい。(一部ナートにて固定する場合もある)
・こまめなガーゼ交換を要する。
・排液量を測りたい場合は、ガーゼカウント が必要。
【半閉鎖式ドレーン】
開放式ドレーンに覆うものがガーゼなどではなくパウチを使用する。
消化器の術後、腹部のドレーンなど。
〈メリット〉
・開放式と閉鎖式のいいとこどり。排液効果が高く、パウチによって外界とも遮断されているため逆行性感染のリスクが低い。
〈デメリット〉
・パウチの接着面などへの汚染で剥がれや漏れが多く、管理の維持が難しい。
・管理が困難であるため交換を余儀なくされるが、パウチ自体がコストが高く頻回の交換は難しい。→結果、そのままガーゼ対応でと言われ 結局開放式ドレーン扱いとなる。
【閉鎖式ドレーン】
ドレーンが排液バッグに接続されているタイプ。CDC(米国疾病管理予防センター)のガイドライン2でも推奨されており、各科術後で使用頻度が高い。
↓ 一例です。陰圧システムや機器へ繋ぐための専用チューブや排液バッグがボトルのタイプなど様々なものがあります。
〈メリット〉
・ドレーンが排液バッグに接続されているため、外界から遮断され逆行性感染のリスクが低い。
・ドレナージ管理がしやすい。(排液量・性状などの観察・検体採取など)
・ナートなどで体に固定してあるため抜けにくい。
・血性や膿性、コアグラやフィブリン塊があるなどのドレナージも可能。
〈デメリット〉
・患者負担が大きい。(違和感や疼痛が強い、体動が制限されるなど)
・ドレーンの屈曲や閉塞を起こしやすい。
・陰圧によりドレーンの先端に組織を吸着し、閉塞や組織の損傷を招く恐れがある。
さらに、原理により・・・
高さなどの圧較差や毛細管現象を利用した自然に排液を促す受動的タイプと、低圧持続吸引システムなどの機器を使用し陰圧をかけた能動的タイプの2種類に分類もされたりしますが、臨床で「原理による分類は?」なんて聞かれることはまずないと思うので(笑)原理さえわかっていれば十分です。
そして、ドレーンの特徴やドレーン管理についてはもちろんですが・・・さらに知っておくと理解が深まるのがドレーンチューブの種類についてです。
おそらく、手術室ナースなどは熟知しており術後の申し送りなどでドレーンが入っている場合には必ず耳にすると思います。
【ドレーンチューブの種類】
《フィルム型》フィルム型・ペンローズ型・多孔型 / 開放式ドレーン
・薄く柔らかい材質、膜状で毛細管現象を利用してドレナージをする。
・反面、内腔が潰れやすく、コアグラや粘稠度の高い排液で閉塞しやすい。
《チューブ型》プリーツ型・デュープル型・平型・単孔型 / 閉鎖式ドレーン
・毛細管現象によるドレナージだが、管状構造。
・内腔つぶれにくいため、コアグラや粘稠度の高い排液のドレナージも可能。
《サンプ型》マルチドレーン・二腔型・三腔型
・外気を取り込む腔があり、他方の腔から排液するというサンプ効果をもつ。
・陰圧をかけても先端の組織吸着をしづらく、損傷を起こしにくい。
・内腔が二つや三つに分かれている。
《ブレイク型》フラット型・ラウンド型
・内腔がない形状であるため、組織との接着面積が大きくドレナージ効果が優れている。
・J-VACなどがこの型にあたるが、体内留置部に溝状の吸引溝があり詰まりにくい。
また、伸張強度もありチューブのつぶれにも強い。など、細かい特性も持ち合わせているものもある。
これらのチューブの特徴についても理解ができていると、どういう目的でなぜドレーンが使われているのかが分かるようになり、おのずと管理する上での注意点も理解できるようになります。
特徴や原理を知って、安全なドレーン管理を行っていきましょう。